医療行為とその限界点

介護士が担う役割は非常に大きく、日々の生活サポートから心の支えまで多岐にわたります。しかし、彼らが行える医療行為には明確な線引きがあり、その限界点を知ることはとても重要です。厚生労働省の通知により、介護士が実施できる行為は「原則として医療行為ではない行為」として明確に定められており、これらを正しく理解することが安全で質の高い介護を実現するために必要でしょう。

介護士が行える医療行為は、主に身の回りのサポートに関わるものが中心です。具体的には、爪切り(爪に異常がなく糖尿病等の専門的な管理が必要でない場合)、口腔ケア(重度の歯周病等がない場合)、耳掃除(耳垢が完全に耳をふさいでいない場合)などが認められています。また、医師が処方した薬を定められた時間に利用者に服用させる服薬管理も介護士の重要な業務の一つです。一方で、注射や点滴、傷の処置など専門的な知識と技術を要する医療行為は、基本的に介護士が行うことはできません。これらは医師や看護師といった医療資格を持つ専門家の役割であり、介護士がこれを行うことは法律によって禁じられています。

介護士ができる医療行為に限界があることを踏まえ、重要になるのが医療スタッフとの連携です。介護士は医師や看護師と連絡を取り合い、利用者の健康状態について情報を共有することが大切でしょう。万が一、医療行為が必要な状況が発生した場合には、速やかに専門家に連絡を取り、適切な処置を依頼することが必要です。また、介護士自身が法律で認められている範囲内での知識や技術を学び、日々のケアに活かすことで、利用者の健康を守りながらより質の高いサポートを提供することが可能になります。