介護士が日々直面する重要な課題の一つに、利用者の褥瘡(じょくそう)予防があります。褥瘡は長時間同じ体勢を続けることで皮膚が圧迫され、血流が悪くなることで発生する皮膚潰瘍です。重篤化すると治療が困難になるため、予防が何より大切でしょう。介護士ができる医療行為の範囲内で実践可能な効果的な予防ケアについて、具体的な方法をご紹介します。
まず基本となるのが、皮膚状態の観察とスキンケアです。毎日のケア時に利用者の皮膚に赤みや傷がないかをしっかりチェックし、早期発見に努めることが重要になります。これらの観察行為は介護士が行える医療行為として認められており、専門的な知識を活かした適切な判断が求められます。乾燥した皮膚は褥瘡ができやすくなるため、清潔を保ちながら保湿クリームを使用して肌を守ることが効果的です。また、体位変換は褥瘡予防で最も重要なケアの一つでしょう。日本褥瘡学会の「褥瘡予防・管理ガイドライン第5版」では、体圧分散マットレスを使用する場合は4時間以内の間隔での体位変換が推奨されています。
栄養管理も褥瘡予防には欠かせない要素です。栄養バランスの取れた食事により皮膚や体の健康を保ち、褥瘡の発生リスクを減らすことができます。特にタンパク質は皮膚の再生に必要不可欠で、ビタミンCはコラーゲンの合成に関与し皮膚の健康維持に重要な役割を果たします。体圧分散寝具の活用も効果的です。これらの総合的なケアを法的に許可された医療行為の範囲内で日々の業務に取り入れることで、利用者の健康を守り、快適な生活をサポートできるでしょう。もっと褥瘡ケアについて知っておきたいのなら、こちらの【介護に必須の<褥瘡>基本知識】も参考になるかもしれません。